最近ではAmazonや楽天の配送方法でも選択できるエリアも急速に広がってきた「置き配(おきはい)」。始まったばかりの取り組みのように思ってしまいますが、調べてみると意外に長い歴史があることが分かります。
「置き配」ってどういう意味?日本の「置き配」はいつから始まったの?外国ではどうなの?
今回は置き配にまつわる基本的な疑問にお答していきたいと思います。
「置き配」の定義とは?日本とアメリカではどう違う?
米国ではごく一般的な配達方法となっている置き配。米Amazonの配送方法には “Front Porch Delivery Option(玄関前に配達するオプション)”という置き配を選択できるオプションが用意されています。
ただ、あるモニター調査によれば、米国ではAmazonに限らず、現状で約7割の配達物が日常的に置き配されているようです。これは、自宅玄関前の安全な場所に荷物を「置きっ放し」にして配達完了という形態を意味しているため、日本でいうところの「置き配」とは性質が異なります。玄関前や敷地部分に新聞を投げ入れて配達する描写がよく映画で登場しますが、新聞のみならず荷物の配達方法も、日本より大胆で大雑把な部分があるようにも感じられます。
米国では、そんな置き配の配送物を窃盗するポーチ・パイレーツ(Porch Pirate、玄関前の海賊)という犯罪者による盗難も実際に発生しています。そのため、監視カメラを設置したり、家ではない場所を配送先に指定するユーザーも増えているようです。
今月、三省堂が発表した2019年の新語第9位に「置き配」が登場し、日本語としての明確な定義が生み出されました。『三省堂現代新国語辞典』の小野正弘先生が執筆を担当され、「置き配」を下記のように定義しています。
「おきはい【置き配】〈名〉宅配する際に、品物を対面して渡すのではなく、指定された場所に置くことで配達すること。「―で玄関前を指定する」[再配達による時間や労力の無駄を防ぐために始められた]
引用元:三省堂辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2019」
この定義からも、日本の置き配は顧客が指定した「指定場所」に配達するというニュアンスが強いのがわかりますね。
特徴として、「指定場所配送」では、受け取る側に様々な指定場所の選択肢が提供されています。ユーザーが一番好ましいとする場所を配達場所として選べるようになっていますので、より利便性が高くカスタマイズ可能であり、米国の置き配とは方法も異なっていることが分かります。
さて、日本では古くからこの指定場所配送(いわゆる置き配)が行われてきたわけですが、その起源はどこにあったのか、「置き配」の歴史を少したどってみましょう。
牛乳配達から始まった「置き配」の歴史!?
現在確認できる資料のなかで最も古い個別住宅への宅配の登場は、牛乳配達の1880年代後半です。その後、食品の置き配、化粧品の置き配、通販サイトでの置き配、と広がり現在に至ります。
ここでは、1880年代後半から現在(2020年)までの「置き配」の流れを年表形式にしてまとめてみました。
「置き配」の成り立ち(1890年代後半から2020年まで)
年 | 配送物 | 背景・詳細 |
---|---|---|
1897
(明治30) |
牛乳(ビン詰め容器での宅配開始、朝夕2回/)※明確な「置き配」実施の文献はなし
●1878年代までは量り売りの宅配。 |
それまで牛乳を飲む文化がなかった日本において牛乳が飲まれるようになる。人力車や自転車(戦前)での配達からトラックでの配達(戦後)へ。1955年代以降は牛乳の消費量が増えたことにより、トラックでの大量輸送が行われるようになり、サービスが普及していった。 |
1981 | 食品【生協】 ※道央市民生協(北海道) ●開始当初から200アイテムを用意。生鮮を重視し、少量少額でも定期的な配達を行っている。週2回配達が基本。 |
道央市民生協が活動していたエリア(北海道の道央・道南)では各家の距離が離れている地域もあったため、共同購入の際の荷渡し場所が限定されてしまったり冬場に場所を確保できないという課題があった。また女性の社会進出(共働き)にともない、買い物時間を節約したいというニーズもあった。 |
1990 | 食品【生協】 ※パルシステム(首都圏) ●1993年から個配の取り組みを本格化。 |
商品(こんせん牛乳・無添加ハム・ソーセージなど)の独自開発をしつつ、生協の仕組みを整え、1990年には個配の実験供給を開始。その後も全国各地の生協が加盟しており、事業は拡大している。 |
1997 | 化粧品【ファンケル】 ●1997年から20年間続けている「置き場所指定お届けサービス」では、9か所+任意の指定場所を選択できる。日本通運と試験的に開始(のちに事業の一部が日本郵便に吸収されたことにより、置き配も引き継がれる)。 ●現在(2019年4月~)は「指定場所ダイレクト」にサービスが移行し、7か所が選択可能になっている。 ★EC業界で置き配を導入した先駆者。 |
女性の社会進出にともない、商品が届く際に在宅できない状況や子育て中でなかなか玄関に出られないという顧客ニーズに応えるために「置き場所指定お届け」を開始。現在でも全注文件数の約3割が置き場所指定お届けサービスを選択している。 【指定場所ダイレクト】 玄関前・メーターボックス・ポスト(郵便受箱)・物置・車庫・宅配ボックス・自転車のカゴ、7か所から選択可能。 |
2016〜 | 通販商品【大手通販サイト】 ※アスクル(LOHACO)、Amazon、楽天、ネットスーパー各種 |
Amazon(2019年3月~)/楽天(2018年6月~)、様々なネットスーパー(イオン・ローソンフレッシュ・ヤオコーなど)が置き配や留め置きのサービスを提供している。 |
2019 | ゆうパック【日本郵便】 ★配送大手3社の中で初めて、置き配を自社サービスに取り込んだ。 |
★指定場所配達に「置き配」を追加。 置き配バッグ「OKIPPA」設置による指定場所配達が可能に(※OKIPPAとの実証実験を経て、OKIPPAバッグ内への配達を公認) |
2020 | 購入品全般【Amazon】 ★業界で初めて、「置き配」を配送サービスとしてデフォルト化 |
★Amazonが「置き配」をデフォルト化 これまで置き配は対面受取を基本とした配送サービスの中で一つの選択肢であった。しかし、Amazonは国内で初めて、2020年3月23日より30都道府県で「置き配」を標準として、特に指定をしない場合には玄関前への置き配にて配送完了とサービス内容を変更した。同時に盗難時の補償もAmazonが行うことを発表。 (2020.5.10追記) |
2020 | 宅配物全般【大手配送会社】 ※ヤマト運輸、日本郵便 ★新型コロナウイルス感染症対策のため |
★新型コロナ感染症対策として「非対面配送」方法として置き配を暫定的に導入 2020年4月3日〜ヤマト運輸、4月15日〜日本郵便、がインターホン越しに受取人の承諾を得ることができれば、受領印も不要で指定場所に置き配を実施。 (2020.5.10追記) |
ファンケルで初の指定場所配送が登場してから、約20年が経ち、ようやく様々な通販サイトで「置き配」が選べるようになってきました。再配達の問題が大きくなり、ようやく本格的に着手し始めたという様子が伺えます。古くから存在していた指定場所配達のサービスですが、通販サイトの「置き配」がなかなか普及しなかった背景には、盗難時の補償問題がありました。
(以下2020.5.10に追記)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、これまで置き配を実施してこなかったヤマト運輸も暫定的にインターホン越しに承諾を得た荷物に関しては、玄関前置き配する暫定対応を導入しました。消費者の感染対策としての非対面受取需要が拡大する中、2020年3月23日よりAmazonが置き配をデフォルト化しました。
より安心な置き配利用に「簡易宅配バッグ」を利用する
一般的な「置き配」では、玄関前に段ボール箱をそのまま配達します。世界的に見ればかなり治安のよい日本とはいえ、段ボール箱のまま玄関先に置かれていることを考えると、少々不安になってしまいますよね。盗難を防止することも難しくなります。そんな不安を解消するためにもおすすめしたいのが、簡易宅配ボックスへの置き配を指定する方法です。
日本では様々な形態の宅配ボックス(簡易宅配ボックス)が販売されていますが、そのなかでも実証実験を重ねた安心できる製品として置き配バッグOKIPPAを挙げることができます。Yper株式会社が開発したOKIPPAバッグは、これまでにない宅配バッグとして様々な実証実験を重ね、再配達の削減を可能にしてきました。盗難保険もオプションでつけることのできる初の簡易宅配バッグとなります。
安心・安全に置き配を利用するひとつの選択肢として、OKIPPAバッグはいかがでしょうか?
宅配バッグOKIPPAは、コンパクトに畳めるのに収納力は大容量。玄関の小さなスペースでも利用できる新しいかたちの簡易宅配ボックスです。
OKIPPAについて詳しく知りたい方へ
非対面での宅配物の受け取り、もう荷物を待つ必要はありません。


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