今年度の政府の成長戦略「未来投資戦略2018」のひとつに「宅配ボックス設置促進」が掲げられています。

増え続ける再配達件数を減らすための施策として発表されたものです。

具体的な促進方法として、宅配ボックスに関する容積率の緩和を決定した旨の記載があります。

しかし、建基法(建築基準法)などに詳しくない私たちにとっては、容積率の緩和が一体何を意味するのか…

あまりイメージできませんよね。

今回は、容積率の緩和と宅配ボックスの間にどのような関係があるのか?そもそも「容積率」とは何なのか?といったポイントから簡単に解説していきたいと思います。

 



 

容積率とは何か?

容積率とは、「敷地面積」に対しての「建物の各階における床面積の合計(延べ床面積)」の割合です。

式で表わすと、容積率=延べ床面積÷敷地面積 x 100 (%)となります。ここで下図をご覧ください。

出典:注文住宅のススメ

土地に対する容積率が200%と同じ場合、活用する敷地面積が小さくなれば、その分延べ床面積を広くでき、通常の建物では階層が積み重なる形となります。

各階の床面積は「各階の外壁・柱等の区画の中心線で囲まれた部分の面積」として建築基準法施行令第2条によって定められています。

ケース 敷地面積に対して 建物の階数 容積率
1 敷地全体に建築した場合(100%) 2 200%
2 敷地の2分の1に建築した場合(50%) 4 200%
3 敷地の4分の1に建築した場合(25%) 8 200%

建物を建てる時は、この容積率の制限内で建築しなければならないことが定められており、延べ床面積は、都市計画で定められた容積率の最高限度(=指定容積率)以下である必要もあります。

容積率は、地域や区域により異なり、例えば、低層住居専用地域と商業地域とでは、容積率の上限にかなりの違いがあります。

また、容積率は建物の前面道路の幅員(道路幅)によってもさらなる制限を受けることがあり、建物を立てる場合には注意が必要です。

 

容積率と宅配ボックスの関係

では、容積率と宅配ボックスがどう関係するのか。通常の物件は、容積率の上限に近い状態で建てられています。

賃貸物件であれば、より多くの入居者に貸し出すことができるから当然ですよね。

つまり、容積率にはあまりゆとり(余剰分)がない状態で完成した建物の場合には、宅配ボックスを設置することで新たに宅配ボックス分の床面積が増えてしまうと、計算していた容積率の上限をオーバーしてしまう危険性があります。

また、建築時にそもそもおまけ的な宅配ボックスに容積率が奪われるのを嫌い、宅配ボックスの導入に消極的になりがちです。

 

容積率「緩和」の意味とは!?

このような背景から、容積率の上限のために宅配ボックスの設置を諦めていた物件が、これまでにも数多くあったと考えられるわけです。

昨年11月から先行している共同住宅における「宅配ボックスの設置促進」では、共用廊下と一体になった宅配ボックスの設置スペースにおける床面積を(共同住宅の場合は上限なしで)容積率の計算対象から除く、という建基法の運用が通知されました。

つまり、宅配ボックスのためのスペース(荷物を取り出したりするスペースも含む)は設置しても容積率に影響を与えない。

これが容積率の「緩和」です。これにより設置を諦めていた共同住宅でも積極的に宅配ボックスを採用できる環境が整いつつあります。

新たに追加された今回の発表では、共同住宅に続き、オフィスや病院など建築物全般へと規制緩和が広げられました。

共同住宅以外の建物に関しては、延べ床面積に対する100分の1を上限に、容積率の計算対象から外すことが発表されています。

宅配ボックスが計算対象から外れれば、商業施設等ではその分として取り分けていた面積を他の用途で利用できる可能性が出てきます。

新たな経済効果も期待できるかもしれませんね。

この規制緩和措置に関する改正政令は9月下旬に施行予定となっています。

今後は、今まで設置されていなかった場所に宅配ボックスが登場してくることも予想されます。

 

アパートやマンションにも宅配ボックスの設置が増える!

マンションやアパートのオーナー様や賃貸物件をお持ちのオーナー様にとっても、今回の規制緩和はまさに朗報と言えそうです。

一般購買のEC化率が年々増加する中、宅配ボックス付き物件の優位性が高まっているのは確実です。

それと同時に、運送業に携わる配達員の方々の負担についても、メディアなどで大きく取り上げられるようになってきました。

宅配便の再配達を削減していくことは、運送業の生産性向上に繋がる、と見込まれています。

国全体で働き方改革を実現していこうと奮闘している日本においては、スマートでエコな配達が最重要課題のひとつとなっているのです。

この先、宅配ボックスは、建物内の標準的な設備として様々な場所で導入されていくことでしょう。

最後に、容積率が緩和されても、スペースや費用面でなかなか宅配ボックスの設置は難しいと考えられている方は、置き配バッグOKIPPA(オキッパ)をぜひご検討ください。

購入者の約6割は集合住宅居住者であり、スペースがなくても、手のひらサイズの宅配バッグを玄関口に吊り下げるだけで宅配物を受け取れます。

専用のOKIPPAアプリを併用すれば、受け取りが安心になる置き配保険も付保可能です。
※ 荷物追跡サービスを含むOKIPPA公式アプリは2022年1月31日にサービス終了いたしました。「置き配保険」を含むサポートサービス「OKIPPA plus」はこちら(2022/3)

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